なかうち・いさお。ダイエーの創業者・元会長・社長・グループCEO。実家(サカエ薬局)を皮切りに35歳の時(1957年)に大阪市旭区の京阪本線千林駅前に、医薬品や食品を安価で薄利多売する小売店「主婦の店ダイエー薬局」を開店。ダイエーのエーは祖父、中内栄のエイ。当初は薬局で、後に食料品へと進出していった。神戸三宮にチェーン化第1号店となる三宮店を開店、価格破壊をはじめ既成概念を次々と打ち破り、流通業界に革命をおこす。1972年には百貨店の三越を抜き、小売業売上高トップにまでのし上がった。
また、紳士服のロベルト、ファミリーレストランのフォルクス、ハンバーガーチェーンのウェンディーズ、ドムドムハンバーガー、コンビニエンスストアのローソン、百貨店のプランタン銀座など子会社・別事業を次々と展開、さらに南海ホークスの株式を南海電気鉄道から買収してプロ野球業界へも参入。福岡ダイエーホークスを誕生させ、更に福岡ドームの建設に着手するなど、急拡大するグループのカリスマとして君臨した。
しかしバブル崩壊後は業績低下の一途をたどり、「ダイエーには何でもある。でも、欲しいものは何もない」と揶揄されるまでになった。2001年「時代が変わった」としてダイエーを退任。2005年8月、脳梗塞で倒れ、同年9月19日に神戸市立中央市民病院において死去。83歳。福岡Yahoo!JAPANドームには「For the customers」と書かれた直筆の色紙が今も飾られている。